「信用情報に傷がついた…」からの再出発
2025年10月10日
――ブラックリストから再び住宅ローンを組むまで――
はじめに:人生の「再スタート」は誰にでも訪れる
「返済が苦しくなってしまった」「競売になってしまった」「カードが使えなくなった」
そんな出来事が起きると、「もう家は買えないのでは」と思う方も多いでしょう。
しかし、結論からいえば――
時間と準備を正しく積み重ねれば、再び住宅ローンを組むことは可能です。
本記事では、専門用語をできるだけ避けながら、「信用情報に傷がついた状態」から「住宅ローンが通るようになるまで」を、実際の流れに沿ってやさしく解説します。
第1章 そもそも「ブラックリスト」とは?
「ブラックリスト」という言葉はよく使われますが、実際には“信用情報に事故が登録された状態”を指します。
つまり、「金融事故(返済延滞・代位弁済・競売など)」の記録が、信用情報機関というデータベースに登録されている状態です。
信用情報機関の3つの種類
CIC(シー・アイ・シー):クレジットカード・携帯割賦などを扱う機関
JICC(日本信用情報機構):消費者金融・カードローン系を扱う機関
全国銀行協会(KSC):銀行・住宅ローンなどを扱う機関
これら3機関があなたの信用情報を管理しており、銀行やローン会社は申込時に必ず照会します。
延滞や代位弁済(保証会社が代わりに支払うこと)、競売などが発生すると、ここに「事故情報(異動)」が登録される仕組みです。
第2章 事故情報はどのくらい残るの?
一度登録された「事故情報」は、一定期間消えません。
その期間は以下の通りです。
・登録理由登録期間の目安
1,延滞(3ヶ月以上) 約5年
2,代位弁済・保証会社の回収 約5年〜7年
3,任意整理・個人再生 約5年〜7年
4,自己破産 約10年
5,競売・代位弁済 約5年〜7年
つまり、5年〜7年間は新しい住宅ローン審査に通ることはほぼありません。
この期間をどう過ごすかが「再出発の準備期間」になります。
第3章 事故登録中にできなくなること
「住宅ローンが組めない」というのは一番大きな影響ですが、それ以外にも日常生活に支障が出ます。
・クレジットカードの新規発行ができない
・自動車ローン・教育ローンなども審査落ち
・携帯電話の分割払いができない(機種代金を一括払いに)
・一部の賃貸契約で保証会社審査が通りづらい
つまり、事故登録期間は「現金生活中心の期間」になります。
この時期は「節約・貯蓄・生活安定」に集中する時期と捉えましょう。
第4章 信用を取り戻すための3つのステップ
・ステップ①:延滞ゼロ生活の徹底
たとえ小さな支払いでも、遅延を一切起こさないことが大切です。
電気・ガス・水道・携帯電話など、公共料金も信用情報に関係します。
ポイント
・すべて自動引落にする
・支払日をカレンダーに登録する
・通帳残高を常に1ヶ月分多めにキープ
「小さな遅延」が信用情報を再び悪化させることもあるため、細心の注意を。
・ステップ②:安定した収入を継続
次の住宅ローン審査では、「過去の事故」よりも現在の安定性を重視する金融機関が多いです。
勤続年数が2〜3年続いていれば「安定している」と判断されやすくなります。
ポイント
・転職を繰り返さない
・パートよりも正社員・契約社員を目指す
・確定申告をきちんと行う(自営業の場合)
・ステップ③:信用情報の「本人開示」を行う
登録期間が経過した頃に、自分の信用情報を確認します。
これは誰でも数百円〜千円ほどで取り寄せ可能です。
各機関(CIC/JICC/全国銀行協会)のホームページから申し込み、「異動」や「延滞」の情報が消えているか確認しましょう。
✅ ここで「全情報が正常」となっていれば、住宅ローン再挑戦の第一関門クリアです!
第5章 再挑戦の前に知っておくべき注意点
信用情報が回復しても、すぐにローンを組むのは危険です。
なぜなら、銀行には社内記録が残っているからです。
・「社内記録」は消えないこともある
過去に審査を受けた銀行は、その履歴を自社で保管しています。
そのため、「信用情報はクリーンになったのに、銀行が過去の事故を知っている」というケースがあります。
対策:
・以前に住宅ローンを断られた銀行は避ける
・新たな銀行で「初めての取引」として申し込む
・できれば「ローンセンター」で事前相談(申込ではない形)を行う
第6章 例外的に可能なケースもある
中には「事故登録期間中でも家を買えた」という方もいます。
ただし、以下のような“例外的ケース”に限られます。
ケース①:家族名義で購入
配偶者や親など、「事故情報がない家族」が住宅ローンを組むケースです。
ただし、実質的な返済者が本人の場合は「名義貸し」となり、法律上問題になることもあるため注意が必要です。
ケース②:現金購入
信用情報は「借入」に関係するため、現金購入なら影響なし。
頭金をしっかり貯めることで、将来的にローンを減らすことも可能です。
第7章 登録期間が終わったあとの再挑戦方法
「事故情報が消えた=すぐローンが通る」ではありません。
ここからが本当の“再スタート”です。
ステップ①:少額クレジットで信用を積み直す
・携帯料金や公共料金をクレカ払いにして、毎月きちんと引き落とす
・リボ払いや分割払いは避け、1回払いで信用を積む
・クレジットカードが作れない場合は、デビットカードで代用する
これにより、信用情報に「正常に取引している」という履歴がつきます。
ステップ②:事前審査を慎重に
住宅ローンの審査は1行ずつ行いましょう。
複数行に同時申込をすると、信用情報に「同時に複数申込」という記録が残り、
「資金繰りが苦しいのでは」と判断されることもあります。
おすすめの流れ:
銀行のローンセンターに「条件だけ相談」
その後に、1行だけ事前審査
結果を見て、改善点を整理して再挑戦
ステップ③:自己資金と物件選びも重要
信用情報が回復しても、自己資金ゼロでは審査が厳しくなります。
自己資金(頭金)を多く用意するほど、「リスクが少ない」と見なされやすくなります。
・頭金:物件価格の10〜20%を目標に
・借入希望額:返済比率(年収の30〜35%以内)を意識
また、価格が高すぎる物件を狙わないことも成功のカギです。
第8章 実際に再度住宅ローンが通った人の例
例:Aさん(40代・男性・会社員)
競売から6年後、信用情報を開示したところ異動情報が消えていた。
1年間クレカを遅延ゼロで使用し、頭金300万円を貯蓄。
地元信用金庫に事前相談を経て、住宅ローン審査に通過。
ポイントは「時間を味方にし、焦らず準備した」こと。一度の失敗で人生が終わるわけではないのです。
第9章 再出発に向けた心構え
住宅ローンは「信頼の契約」です。
お金の問題だけでなく、「どのように立ち直るか」を見られています。
1,焦らないこと:5年という時間は、人生のリセット期間と考える
2,計画的に行動すること:貯金・勤続・支払管理を淡々と続ける
3,専門家を頼ること:不動産会社・金融機関・司法書士などに早めに相談
おださが不動産が寄り添う“再出発のサポート実例”
おださが不動産では、現在も数組のお客様が当社と二人三脚で、再び住宅ローンを組むための準備を進めています。
皆さまそれぞれに、過去の事情や背景があります。
「以前は支払いが厳しくて延滞してしまった」
「自己破産後、ようやく再スタートの時期を迎えた」
「離婚を機に住宅を手放したが、もう一度家を持ちたい」。
そんなさまざまな状況の方々が、再び安定した生活を築こうと一歩を踏み出されています。
私たちは、単に「ローンが通る・通らない」という結果だけを重視するのではなく、
『どうすれば再び住宅ローンが組めるようになるか』という“道筋づくり”を一緒に考える会社です。
お客様一人ひとりの勤務状況や収入バランス、家計の流れ、信用情報の登録状況を丁寧に整理し、
無理のないタイミング・無理のない金額で、最も現実的なプランを立てていきます。
たとえば、あるお客様は過去の競売から6年が経過し、信用情報の回復を確認。
すぐに申し込むのではなく、半年間しっかりと家計管理と貯蓄を続けたうえで、地元信用金庫に再挑戦し、見事審査に通過しました。
このプロセスを支えたのが、当社との継続的な面談と実践的なアドバイスです。
おださが不動産では、こうした「住宅ローン再挑戦組」の方々の進捗を常に見守り、
1回ごとの打ち合わせの中で、家計の改善提案や、住宅ローンセンターとの事前調整も行っています。
当社の経験上、信用情報の回復後すぐに焦って申込むよりも、
半年から1年の“準備期間”を持って挑戦する方が、圧倒的に成功率が高い傾向があります。
私たちはこの「準備期間」を、お客様の未来を支えるリハビリ期間だと考えています。
再出発には勇気が必要ですが、その勇気を形に変えるには、冷静な計画と、信頼できるパートナーの存在が欠かせません。
私たちは、そのパートナーとして、誠実に寄り添い続けます。
一度つまずいたとしても、住宅を再び持つことは決して夢ではありません。
大切なのは、諦めずに“今からできる準備”を始めること。
おださが不動産は、今日もお客様と一緒に、その第一歩を踏み出しています。
