インボイス制度が不動産賃貸業に与える影響
2025年06月12日
🧾【2025年版】インボイス制度が不動産賃貸業に与える影響とは?
・はじめに
2023年10月から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)。
2025年6月現在、多くの事業者が登録を終えている一方で、不動産賃貸業界では対応が遅れていたり、理解が不十分なケースも見られます。
とくに「店舗・事務所」などのテナント賃貸では、貸主・借主双方に大きな影響が出る可能性があります。
🔍 インボイス制度の基本とは?
インボイス制度とは、売手が「適格請求書(インボイス)」を発行することで、買手(仕入側)が仕入税額控除を受けられる仕組みです。
✅ 適格請求書を発行できるのは「課税事業者」のみ
・**免税事業者(年商1,000万円以下)**はインボイスを発行できない
・そのため、相手(借主)が消費税を支払っていても、控除できないケースが発生
🏢 不動産賃貸業におけるインボイス制度の具体的な影響
【1】テナント賃貸(事務所・店舗)の場合
貸主が「免税事業者」でインボイス未登録だと、借主(事業者側)が仕入税額控除できなくなるため、次のような問題が発生します。
💬 借主側:「消費税分、控除できないので損」
💬 貸主側:「家賃を値引きしないとテナントが離れるかも」
👉 今後、テナントから「インボイス発行できるか?」と確認される機会が増えることが予想されます。
【2】住居系賃貸(アパート・マンション)の場合
居住用賃貸は非課税取引のため、インボイス制度の影響は原則なし。
ただし、一部例外あり:
法人契約で社員寮として利用 → 事務所的な扱いとなる可能性
貸駐車場(課税対象) → インボイス発行の有無が問われる
【3】サブリース契約・管理委託契約への影響
不動産管理会社とオーナー間での「管理報酬」や「サブリース料」についても、インボイスが必要になる可能性があります。
管理会社がオーナーに払う金額 → 「仕入れ」とみなされることがある
管理委託契約書の見直しが必要な場合も
📌 今後のポイントと実務対策(2025年現在)
✅ 登録するか否かの判断
年間家賃収入が1,000万円以下の個人オーナーでも、課税事業者を選択してインボイス発行するか検討が必要
インボイス発行によって納税義務が発生するため、税理士等と相談を
✅ 賃貸契約書の見直し
「賃料は税込・税別どちらか」明記しておくこと
消費税相当額についてテナントとトラブルが起きないよう注意
✅ 借主(法人・個人事業主)への説明義務
不動産業者として、オーナーがインボイス登録しているかどうかを借主に説明できる体制を整えることが望ましい
✍️ まとめ:不動産業界も「制度対応」が必須の時代に
インボイス制度は一見、商取引の話のようですが、不動産の賃貸契約にも密接に関係しています。
特に、テナント誘致を行う不動産会社や、空室対策に取り組むオーナーにとっては、「インボイス登録の有無」が競争力にも関わる問題になっています。
今後も法令や制度の変化に注目しつつ、オーナー・テナント双方が納得できる賃貸契約をサポートしていくことが求められます。