マンション建て替えに向けての法改正
2025年05月24日
2025年5月23日に可決された「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案」は、老朽化したマンションの建て替えや再生を円滑に進めるための法改正です。
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🏢 改正の背景と目的
築40年以上のマンションは全国で約137万戸にのぼり、管理状態の悪化や住民の高齢化が進行しています。 これらのマンションの再生を促進するため、関連する法律を改正し、再生手続きの円滑化を図ることが目的です。
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🛠 主な改正内容
1. 建て替え決議の要件緩和
従来、マンションの建て替えには「区分所有者及び議決権の各5分の4以上」の賛成が必要でしたが、改正後は以下のように緩和されます:
耐震性不足やバリアフリー基準を満たしていない場合:4分の3以上の賛成で決議可能。
大規模災害時の建て替え・取り壊し:3分の2以上の賛成で決議可能。
2. 所在不明の所有者の取り扱い
所在が不明な区分所有者については、裁判所の判断により、決議の母数から除外できるようになります。 これにより、合意形成が難航するケースでの対応が容易になります。
3. 新たな再生手法の創設
以下の新たな再生手法が創設されます:
マンション取壊し敷地売却事業:老朽化したマンションの取り壊しと敷地の売却を決定し、組合を設立して事業を進めます。
マンション更新(一棟リノベーション)事業:既存のマンションを取り壊さずに、一棟全体をリノベーションします。
4. 税制上の支援措置
改正に伴い、以下の税制上の支援措置が創設されます:
法人税・法人住民税・事業税・事業所税:収益事業以外の所得の非課税措置。
消費税・地方消費税:資産譲渡等の時期、仕入税額控除及び申告期限の特例。
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📅 今後のスケジュール
この法改正は、2026年4月の施行を目指しています。 詳細な手続きや要件については、今後の政省令等で定められる予定です。
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この改正により、老朽化したマンションの再生が進み、住環境の改善が期待されます。