土地購入と狭隘申請

公開日:2026年07月13日

狭隘申請

はじめに

 

土地を購入するとき、多くの方は価格や広さ、駅からの距離、日当たり、周辺環境などを重視されます。

もちろん、それらは住まい選びにおいて非常に重要なポイントです。

 

しかし、不動産の現場で長年仕事をしていると、「購入する前に知っていれば防げたのに」と感じるご相談を受けることが少なくありません。

 

その代表的なものが、「狭隘(きょうあい)道路」と「狭隘申請(セットバック)」です。

 

「道路が少し狭いだけでしょ。」

「昔から家が建っているんだから問題ないのでは?」

 

そのように思われる方も多いかもしれません。

 

しかし、この道路の問題は、新築住宅の建築だけでなく、建物の大きさや配置、駐車場計画、住宅ローン、さらには将来の売却価格にも影響する可能性がある非常に重要なポイントです。

 

実際には、土地を購入した後になって初めて、

「道路を後退しなければ建築できません。」

「思っていた建物の大きさでは建築確認が下りません。」

「駐車場の配置を変更する必要があります。」

と説明を受けるケースもあります。

 

もちろん、法律上必要な手続きですので避けることはできません。

 

しかし、私自身が疑問に感じているのは、「なぜ土地を購入する前に十分な説明が行われないのか」という点です。

 

一般のお客様が、

「建築基準法第42条2項道路」

「狭隘申請」

「セットバック」

「道路中心線」

「後退距離」

といった専門用語を知っているはずがありません。

 

それにもかかわらず、土地の契約が終わってから初めて説明されるケースがあるのが、現在の業界の実情です。

 

建売住宅であれば、多くの場合は販売会社や建築会社が事前に狭隘申請や道路協議を済ませているため、購入者が意識する機会はほとんどありません。

 

しかし、土地を購入して注文住宅を建築する場合は話が全く違います。

どのような建物が建てられるのか。

道路後退は必要なのか。

セットバックすると敷地はどれくらい狭くなるのか。

自治体との協議は必要なのか。

これらは土地を購入する前に確認しておくべき重要なポイントです。

 

残念ながら、注文住宅の打ち合わせが進み、建築確認申請の直前になって初めて狭隘申請の必要性が判明し、お客様が予定していた建物を諦めなければならなくなったという事例も、決して珍しいものではありません。

 

だからこそ私たちは、不動産会社として「土地を売ること」だけではなく、「その土地で希望する住まいが実現できるのか」という視点まで含めてご説明することが重要だと考えています。

 

本コラムでは、狭隘道路とは何か、狭隘申請やセットバックの仕組み、建築基準法との関係、土地購入前に確認すべきポイント、そして実際の現場で起こりやすいトラブルについて、不動産・建築の実務に携わる立場から分かりやすく解説します。

 

「この土地は本当に希望どおりの家が建てられるのだろうか。」

 

そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。

土地選びで後悔しないための大切な知識を、できるだけ分かりやすくお伝えします。

第1章 狭隘道路とは?

土地を購入する前に知っておきたい建築基準法の基本ルール

「この土地、価格も手頃だし立地も良い。」

そう思って購入した土地でも、実際に建物を建てようとした際に、「希望していた建物が建てられない」というケースがあります。

 

その原因の一つが、「狭隘(きょうあい)道路」です。

 

不動産業界では日常的に使われる言葉ですが、一般の方が聞く機会はほとんどありません。

 

しかし、土地の購入や建て替えを検討している方にとっては、必ず知っておきたい重要な知識です。

まずは、「狭隘道路」とは何なのか、その基本からご説明します。

 

建物を建てるためには道路に接している必要があります

日本では、建築基準法によって「建物を建てられる土地」の条件が定められています。

 

その中でも特に重要なのが「接道義務」です。

建築基準法第43条では、原則として建物を建築する敷地は、建築基準法上の道路に2メートル以上接していなければならないと定められています。

 

さらに、その道路は原則として幅員4メートル以上であることが求められています。

このルールは、災害時に消防車や救急車などの緊急車両が通行できることや、安全な避難経路を確保することを目的としています。

 

つまり、建築基準法は建物だけではなく、「街全体の安全」を守るための法律でもあるのです。

 

では、昔からある狭い道路はどうなるのでしょうか

こで疑問に思われる方も多いでしょう。

 

実際には、日本には4メートル未満の道路に面した住宅が数多く存在しています。

特に昭和以前から形成された住宅地では、道路幅が2メートルから3メートル程度しかない場所も珍しくありません。

 

これは、その当時の法律や街づくりの基準が現在とは異なっていたためです。

そのような道路まで「建物を建ててはいけません」としてしまうと、多くの住宅が建て替えできなくなってしまいます。

 

そこで建築基準法では、一定の条件を満たした道路については例外的に建築を認めています。

代表的なものが、「建築基準法第42条第2項道路」、一般的に「2項道路」と呼ばれる道路です。

 

「2項道路」とは何か

2項道路とは、建築基準法が施行された時点ですでに建物が立ち並び、地域の生活道路として利用されていた幅員4メートル未満の道路について、将来的に4メートルの道路へ拡幅することを前提に、建築基準法上の道路として認めたものです。

 

つまり、

「現在は狭い道路だけれど、将来的には4メートルに広げていきましょう。」

という考え方です。

 

そのため、建物を建て替える際には、道路を広げるための協力が必要になります。

これが「セットバック」や「狭隘申請」につながっていきます。

 

狭隘道路だからといって建物が建てられないわけではありません

「狭隘道路」と聞くと、

「もう家は建てられないのでは?」

と心配される方もいらっしゃいます。

 

しかし、多くの場合はそうではありません。

一定の条件を満たし、自治体との協議や必要な手続きを行えば、建築は可能です。

 

ただし、その際には道路後退(セットバック)が必要になったり、建築できる建物の配置や大きさに影響が出たりする場合があります。

 

つまり、「建てられるかどうか」だけではなく、「どのような建物が建てられるか」が重要になるのです。

 

道路の幅が数十センチ違うだけで建築計画が変わることもあります

実務では、道路幅がわずか数十センチ違うだけで、建築計画が大きく変わるケースがあります。

 

例えば、

・駐車場が1台確保できなくなる

・玄関の位置を変更する必要がある

・庭の広さが変わる

・希望していた間取りが入らない

・建物面積が小さくなる

など、設計全体に影響することがあります。

 

土地の価格だけを見ると魅力的に感じても、実際には希望どおりの建物が建築できず、結果として住みにくい住宅になってしまう可能性もあります。

 

不動産会社としてお伝えしたいこと

私たちは土地をご紹介する際、「価格が安い」「駅に近い」といった条件だけで判断することはおすすめしていません。

 

本当に大切なのは、その土地でお客様が希望する住まいを実現できるかどうかです。

狭隘道路に接している土地であっても、事前に道路種別やセットバックの有無を確認し、建築会社や設計士と連携して計画を立てれば、問題なく理想の住まいを建築できるケースも多くあります。

 

一方で、購入後に初めて道路の問題が分かり、建築計画を大きく変更しなければならないケースもあります。

その違いは、「土地を購入する前に確認していたかどうか」です。

 

土地選びは価格だけではなく、「建築できる未来」まで見据えて判断することが重要です。

第2章 狭隘申請(セットバック)とは?

建物を建てる前に必ず知っておきたい重要な手続き

前章では、「狭隘道路」と呼ばれる幅員4メートル未満の道路についてご説明しました。

 

では、そのような道路に面した土地では、どのようにして建物を建てるのでしょうか。

そこで必要になるのが「狭隘申請」と「セットバック」です。

 

この言葉は一般の方にはあまり馴染みがありません。

 

しかし、土地を購入して注文住宅を建築する場合には、建物の大きさや配置、さらには将来の資産価値にも関わる重要な手続きになります。

 

セットバックとは何か

セットバックとは、道路を将来的に4メートルの幅へ広げるために、自分の敷地を道路側へ提供することをいいます。

 

例えば、現在の道路幅が3メートルだった場合、道路の中心線から左右2メートルずつ確保する必要があります。

道路が中心から均等に広がる場合は、自分の土地を50センチ後退させることになります。

一見すると「たった50センチ」と思われるかもしれません。

 

しかし、この50センチによって、

・建物の配置

・駐車場の大きさ

・玄関アプローチ

・庭の広さ

・建築面積

などが大きく変わることがあります。

 

特に敷地が狭い土地では、その影響は決して小さくありません。

 

狭隘申請とは何をするのか

セットバックを行う際には、自治体と協議を行い、道路後退部分を確定させる必要があります。

これが一般的に「狭隘申請」と呼ばれる手続きです。

 

自治体によって名称は異なりますが、

・狭隘協議

・道路後退協議

・道路中心線協議

などと呼ばれることもあります。

 

申請では、

・道路幅員の確認

・道路中心線の確認

・後退距離の確認

・境界の確認

・道路後退部分の管理方法

などについて協議が行われます。

 

その内容をもとに建築確認申請が進められます。

つまり、狭隘申請は建築確認申請の前に行う非常に重要な手続きなのです。

 

なぜ自治体との協議が必要なのでしょうか

「道路の中心から2メートル下がればいいだけでは?」

そう思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、実際にはそれほど単純ではありません。

 

例えば、

・道路の中心がどこなのか分からない

・反対側にもセットバックが必要なのか

・道路境界が確定していない

・道路が曲がっている

・道路幅が場所によって異なる

このようなケースは決して珍しくありません。

 

そのため、自治体が現地を確認し、関係者と協議を行ったうえで後退位置を決定します。

場合によっては測量が必要になることもあります。

 

セットバックした土地はどうなるのか

ここは多くの方が誤解されるポイントです。

 

セットバックした部分も、自分が所有する土地であることに変わりはありません。

しかし、その土地は道路として利用されることを前提としているため、自由に使用することはできません。

 

例えば、

建物を建てることはできません。

塀や門扉を設置することもできません。

物置を置くこともできません。

花壇や植栽を設置できない自治体もあります。

車を駐車することについても、自治体ごとの運用や管理方法によって制限される場合があります。

 

つまり、

「自分の土地だから自由に使える。」

という考え方は通用しないのです。

 

自治体によって取り扱いが違います

狭隘申請で注意したいのは、

全国共通ではないという点です。

 

例えば、

相模原市

座間市

町田市

海老名市

大和市

でも、

 

・申請方法

・提出書類

・補助制度

・道路の管理方法

・寄付制度

などが異なります。

 

そのため、

インターネットで調べた情報だけを参考にすると、

自分の土地では当てはまらないこともあります。

 

土地ごとに状況が異なるため、事前に自治体や専門家へ確認することが重要です。

 

建売住宅では意識する機会が少ない理由

建売住宅を購入された方の多くは、

狭隘申請について意識されたことがないと思います。

 

それは、

販売会社や分譲会社が建築前に狭隘申請を済ませていることが多いためです。

 

購入者は完成した住宅を見て購入するため、

道路後退部分がどこなのか、

いつ申請したのか、

知らなくても生活できます。

 

ところが、

注文住宅では全く事情が異なります。

 

土地を購入した後、

建築会社と打ち合わせを進める中で、

初めて狭隘申請の必要性が判明することもあります。

これが建売住宅と注文住宅の大きな違いです。

 

不動産会社として感じる業界の課題

ここは私自身、長年不動産業界で仕事をしていて強く感じることがあります。

 

土地から注文住宅を建てるお客様に対して、

「狭隘申請が必要です。」

という説明が十分に行われていないケースが少なくありません。

 

もちろん、最終的には建築会社が建築確認申請を行うため、その段階で説明されることはあります。

 

しかし、それでは遅いのです。

土地を契約した後では、

「建物が小さくなります。」

「駐車場の位置を変更します。」

と言われても、

土地自体を変更することは簡単ではありません。

 

本来であれば、

土地を購入する前に、

・道路種別

・セットバックの有無

・道路後退後の有効敷地

・建築できる建物の大きさ

ここまで説明されるべきだと私は考えています。

 

専門知識がない一般のお客様にとって、

狭隘申請という制度を知らないのは当然です。

 

だからこそ、私たち専門家が分かりやすく説明し、お客様が安心して土地を選べる環境をつくることが、本来あるべき姿ではないでしょうか。

第3章 狭隘申請をしないとどうなる?

「知らなかった」では済まされない5つのリスク

「道路が少し狭いだけなのだから、そのまま家を建てても問題ないのでは。」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、狭隘道路に接している土地では、必要な手続きを行わなければ建物を建築できないだけでなく、将来の資産価値や売却にも大きな影響を与える可能性があります。

ここでは、実際に起こり得る代表的なリスクについて詳しくご説明します。

 

リスク1 建築確認済証が交付されない可能性がある

住宅を新築する場合、多くの建物では建築確認申請を行い、建築確認済証の交付を受ける必要があります。

 

建築確認では、

・建築基準法

・都市計画法

・各自治体の条例

などに適合しているかを審査します。

 

その際、狭隘道路に面しているにもかかわらず、必要な道路後退や狭隘申請が行われていなければ、建築確認済証が交付されない場合があります。

 

つまり、

工事を始めたくても始められないという状況になる可能性があります。

土地を購入した後でこの事実を知ると、建築計画全体を見直さなければならないケースもあります。

 

リスク2 希望していた建物が建てられない

狭隘申請によって道路後退が必要になると、その分だけ有効な敷地面積が小さくなります。

 

例えば、

土地面積100平方メートル

道路後退部分5平方メートル

となれば、

建物を建築できる敷地は95平方メートルになります。

 

数字だけを見ると小さな違いに感じるかもしれません。

しかし、建築設計では数十センチの違いが建物全体に大きく影響します。

 

例えば、

・駐車場が1台から軽自動車専用になる

・玄関の位置を変更しなければならない

・希望していた4LDKが3LDKになる

・収納スペースが減る

・庭が確保できない

など、建築計画を変更しなければならない場合があります。

 

注文住宅は自由設計が魅力ですが、道路条件によっては自由度が大きく制限されることもあります。

 

リスク3 住宅ローンにも影響する場合がある

金融機関は住宅ローンを融資する際、不動産の法的な状況も確認しています。

 

建築基準法に適合していない建物や、適法に建築できない可能性がある土地については、融資条件が厳しくなる場合があります。

もちろん、すべてのケースで住宅ローンが利用できなくなるわけではありません。

 

しかし、

・建築確認が取得できない。

・法令上の問題が解決していない。

・道路条件が整理されていない。

このような状況では、金融機関も慎重な判断を行います。

 

住宅ローンは建物を建てるための大切な資金です。

その前提となる土地の条件を確認することは非常に重要です。

 

リスク4 将来売却するときにも影響する

不動産は購入するときだけではなく、将来売却するときのことも考えておく必要があります。

 

狭隘申請が必要な土地では、

購入希望者から、

「建物は問題なく建てられますか。」

「道路後退は終わっていますか。」

「セットバックはどれくらい必要ですか。」

という質問を受けることがあります。

 

もし道路条件が整理されていなければ、

購入希望者が不安を感じ、

購入を見送ってしまう可能性もあります。

 

また、

建築会社や金融機関から追加調査を求められることもあります。

 

結果として、

売却までに時間が掛かったり、価格交渉の材料になったりするケースもあります。

 

リスク5 ご近所とのトラブルになることもある

狭隘道路では、

道路中心線や境界線が明確になっていないケースがあります。

 

そのため、

道路後退を行う際に、

「ここまでが道路です。」

「境界はここです。」

という確認が必要になります。

 

このとき、

隣地所有者との認識が異なっていると、

境界について話し合いが必要になることもあります。

 

もちろん、多くは円満に解決しますが、

境界確認には時間を要することもあります。

 

土地を購入する前に、

境界標があるか。

道路後退済みなのか。

道路境界は確定しているのか。

これらを確認しておくことが安心につながります。

 

実際の現場で多い相談

私たちがお客様からご相談を受ける中で、特に多いのが次のようなケースです。

 

「土地を契約した後に建築会社からセットバックが必要と言われた。」

「思っていたより建物が小さくなってしまった。」

「駐車場を2台計画していたのに1台しか入らなくなった。」

「もっと早く道路の説明を受けたかった。」

 

決して珍しい話ではありません。

だからこそ、土地を購入する前に道路条件を確認することが大切なのです。

第4章 セットバックした土地はどうなる?

「自分の土地だから自由に使える」は大きな誤解です

狭隘申請やセットバックについてご説明すると、多くのお客様から同じようなご質問をいただきます。

 

「セットバックした土地は市役所のものになるのですか。」

「道路として使われるなら、土地を取られてしまうのですか。」

「固定資産税はどうなるのでしょうか。」

どれも非常に大切な疑問です。

 

しかし、この部分について十分な説明を受ける機会は意外と多くありません。

ここでは、セットバック後の土地の権利や税金、管理方法について詳しくご説明します。

 

セットバックしても所有権は変わらない

まず知っていただきたいのは、セットバックを行ったからといって、自動的に土地の所有権が自治体へ移るわけではありません。

 

道路後退した部分も、原則として所有者は変わらず、ご自身の土地のままです。

つまり登記簿上では、

土地面積も、

所有者も、

基本的には変わりません。

ここを誤解されている方は非常に多くいらっしゃいます。

 

自分の土地でも自由には使えません

「所有者が自分なら自由に使えるのでは?」

そう考えるのは自然なことです。

 

しかし、ここが最も注意していただきたいポイントです。

セットバックした部分は、将来的に道路として利用することを前提とした土地です。

 

そのため、

建物を建てることはできません。

塀を造ることもできません。

門扉を設置することもできません。

物置を置くこともできません。

植栽や花壇についても制限される場合があります。

 

また、自治体によって運用は異なりますが、駐車スペースとして恒常的に利用することについても制限を受ける場合があります。

 

つまり、

「自分の土地だけれど道路として扱われる土地」

という特殊な位置付けになります。

 

固定資産税はどうなるのでしょうか

ここもよくあるご質問です。

 

セットバックした部分については、

一定の要件を満たすことで、

固定資産税や都市計画税が非課税になる場合があります。

 

ただし、

「セットバックしたから自動的に税金が安くなる」

というわけではありません。

 

自治体によっては、申請が必要になります。

 

また、

道路後退部分の確認が必要になるケースもあります。

申請を忘れてしまうと、

本来非課税になるはずの土地について、

税金を支払い続けてしまう可能性もあります。

 

細かな取り扱いは自治体によって異なるため、

道路後退が完了した後は、市区町村へ確認することをおすすめします。

 

自治体へ寄付できる場合もあります

自治体によっては、

道路後退部分を無償で寄付できる制度があります。

 

これを利用すると、

道路部分は自治体が管理する公道となる場合があります。

 

寄付が認められると、

舗装工事

維持管理

境界管理

などを自治体が行うケースもあります。

 

また、

自治体によっては、

分筆費用

測量費用

道路整備費用

などについて補助制度を設けているところもあります。

 

一方で、

すべての自治体で寄付を受け付けているわけではありません。

 

また、

道路の形状

幅員

接続状況

などによって、寄付できないケースもあります。

 

相模原市や近隣市町村でも制度は異なります

私たちがお手伝いしている

相模原市

座間市

海老名市

町田市

大和市

 

でも、

制度はまったく同じではありません。

 

例えば、

寄付制度の有無

舗装の考え方

申請書類

補助制度

管理方法

など、

自治体ごとに違いがあります。

 

そのため、

「知人の土地ではこうだった。」

「インターネットにはこう書いてあった。」

という情報だけでは判断できません。

 

土地ごとに状況が異なるため、個別に確認することが重要です。

 

セットバック部分も資産価値に影響します

土地の価格は、

単純に登記簿上の面積だけでは決まりません。

 

例えば、

100平方メートルの土地でも、

そのうち10平方メートルがセットバック部分で自由に利用できない場合、

実際に建物を建築できる有効宅地は90平方メートルになります。

 

購入を検討される方も、

「実際に使える土地はどれくらいなのか。」

を重視します。

 

そのため、

売却時には、

有効宅地面積

セットバック面積

道路後退状況

などを正確に説明する必要があります。

 

不動産会社としてお伝えしたいこと

私たちは、お客様へ土地をご紹介する際、

登記簿面積だけをご説明することはありません。

 

実際に建築できる面積はどれくらいなのか。

道路後退は必要なのか。

セットバック部分はどこなのか。

固定資産税はどうなるのか。

こうした内容まで含めてご説明することを心掛けています。

 

なぜなら、

土地は「広さ」だけで価値が決まるものではないからです。

どれだけ自由に利用できるか。

希望する建物が建築できるか。

将来売却するときに説明しやすい土地なのか。

そこまで考えることが、本当の意味での土地選びだと私たちは考えています。

第5章 なぜ購入前に説明されないのか?

私たちが感じる不動産・建築業界の課題

ここまで、狭隘道路やセットバック、狭隘申請についてご説明してきました。

 

ここで一つ、皆さまに考えていただきたいことがあります。

もし、狭隘申請がこれほど重要な手続きであるならば、なぜ土地を購入する前に十分な説明を受けていないケースがあるのでしょうか。

私たちは長年、不動産売買に携わる中で、この点に大きな課題を感じています。

もちろん、多くの不動産会社や建築会社では丁寧な説明が行われています。

 

しかし一方で、お客様から次のようなご相談を受けることも少なくありません。

「土地を契約してから初めてセットバックが必要だと聞きました。」

「希望していた建物が建てられないと言われました。」

「駐車場が1台減るなんて契約前には知りませんでした。」

このようなご相談を受けるたびに、「もっと早い段階で説明ができていれば…」と感じます。

 

建売住宅と注文住宅では事情が大きく違います

この問題を理解するためには、建売住宅と注文住宅の違いを知ることが大切です。

 

建売住宅の場合、販売される時点で、

・建築確認

・狭隘申請

・道路協議

・設計

などが完了していることがほとんどです。

 

購入されるお客様は完成した住宅を見るため、

道路後退が行われていることに気付かないこともあります。

 

しかし、土地を購入して注文住宅を建てる場合は違います。

土地を購入したあと、

建築会社と間取りを決め、

設計を進め、

その後に狭隘申請が必要になるケースがあります。

つまり、お客様が道路条件を初めて知るタイミングが遅くなってしまうことがあるのです。

 

「建築会社が説明するから大丈夫」という考え方

実際には、

不動産会社は土地を販売する立場、

建築会社は建物を設計する立場、

という役割分担があります。

 

そのため、

「建物のことは建築会社が説明するだろう。」

という考えになってしまうケースがあります。

 

一方、建築会社は、

「土地の説明は不動産会社がしているだろう。」

と考えてしまうことがあります。

 

このように、お互いが説明していると思い込んでしまうことで、大切な説明が抜け落ちてしまうことがあります。

もちろん、すべての会社がそうではありません。

しかし、このようなケースが実際にあることも事実です。

 

一般のお客様が知らないのは当然です

私たちは、お客様が狭隘申請を知らなくても当然だと考えています。

 

「建築基準法第42条第2項道路」

「セットバック」

「道路中心線」

「道路後退」

「狭隘協議」

これらは日常生活で使う言葉ではありません。

 

住宅を何度も建築する方はほとんどいません。

一生に一度の買い物であるマイホームだからこそ、専門知識がなくて当然なのです。

 

だからこそ、私たち専門家が、お客様の立場に立って分かりやすく説明する責任があります。

「知らなかった」ことを責めるのではなく、「知らなくても安心して購入できる環境」をつくることが、本来の不動産会社や建築会社の役割ではないでしょうか。

 

土地選びは「建物」まで考えて行うべきです

土地探しでは、

・価格

・広さ

・駅からの距離

・日当たり

・学区

などに目が向きがちです。

 

もちろん、どれも重要です。

しかし、不動産のプロとしてお伝えしたいのは、

「その土地に希望する建物が建築できるのか。」

という視点です。

 

例えば、

土地は100平方メートルあるけれど、

セットバック後は実質95平方メートルしか使えない。

この5平方メートルの違いによって、

希望していた4LDKが建てられないこともあります。

 

駐車場が2台確保できなくなることもあります。

だからこそ、土地だけを見るのではなく、

「建物まで含めて考える土地選び」

が重要なのです。

 

私たちがお客様へ必ずお伝えしていること

おださが不動産では、土地をご紹介する際には、価格や立地だけではなく、

・前面道路の幅員

・道路種別

・セットバックの有無

・建築基準法上の制限

・有効宅地面積

・希望する建物が建築できるか

などを、お客様と一緒に確認するよう心掛けています。

 

必要に応じて建築会社とも連携し、土地を購入する前にできる限り疑問や不安を解消したうえでご判断いただくことを大切にしています。

土地は購入したら終わりではありません。

 

その土地に住まいを建て、ご家族が長く暮らしていく場所です。

だからこそ、契約前の十分な確認が、将来の満足度を大きく左右すると私たちは考えています。

第6章 土地購入で後悔しないために

契約前に必ず確認したい7つのチェックポイント

ここまで、狭隘道路やセットバック、狭隘申請について詳しくご説明してきました。

では、実際に土地を購入する際には、どのような点を確認すれば良いのでしょうか。

「道路が狭いから購入しない方が良い」ということではありません。

狭隘道路に面した土地でも、事前に正しく内容を理解し、建築計画を立てれば、理想の住まいを実現できるケースは数多くあります。

大切なのは、「知らずに購入すること」です。

ここでは、土地を購入する前に確認しておきたいポイントをご紹介します。

 

1 道路の種類を確認する

まず確認したいのが、前面道路がどのような道路なのかという点です。

 

道路には、

・建築基準法第42条第1項道路

・建築基準法第42条第2項道路

・位置指定道路

・私道

・公道

など、さまざまな種類があります。

 

見た目では同じ道路に見えても、建築基準法上の取り扱いは異なる場合があります。

道路の種類によって建築条件や必要な手続きも変わりますので、不動産会社へ確認することをおすすめします。

 

2 前面道路の幅員を確認する

道路が4メートル以上あるのか。

4メートル未満なのか。

これによって、セットバックが必要になる可能性があります。

 

また、現地で見た印象だけでは判断できないこともあります。

例えば、道路の一部だけ幅が狭くなっているケースや、側溝部分を含めるかどうかなど、専門的な確認が必要になる場合があります。

道路台帳や自治体の資料を確認することが重要です。

 

3 セットバック後の有効宅地面積を確認する

登記簿上の土地面積だけで判断してはいけません。

実際に建築できる土地が何平方メートルになるのかを確認しましょう。

 

例えば、

土地面積100平方メートル

セットバック5平方メートル

の場合、

実際に建築できる面積は95平方メートルになります。

この違いが、建物の大きさや間取りに影響することがあります。

 

4 希望する建物が建築できるか確認する

土地を購入する前に、

「この土地に希望する建物は建築できますか。」

と質問することが重要です。

 

例えば、

・4LDKを希望している

・駐車場2台を確保したい

・平屋を建てたい

・二世帯住宅を建築したい

など、ご家族によって希望は異なります。

土地だけを見るのではなく、完成後の暮らしまで考えて判断することが大切です。

 

5 建築会社にも早めに相談する

土地を契約してから建築会社を探す方もいらっしゃいます。

しかし、注文住宅を検討されている場合は、土地探しの段階から建築会社へ相談することをおすすめします。

 

建築会社が早い段階で土地を確認すれば、

・建物配置

・駐車場計画

・セットバックの影響

・外構計画

などを事前に検討できます。

その結果、「思っていた家が建てられない」というリスクを減らすことができます。

 

6 自治体の補助制度も確認する

自治体によっては、

・測量費用

・道路整備費用

・分筆費用

などについて補助制度を設けている場合があります。

 

また、セットバック部分を寄付できる制度がある自治体もあります。

制度は自治体によって異なるため、事前に確認しておくことで費用を抑えられる可能性があります。

 

7 不動産会社へ遠慮なく質問する

「こんなことを聞いても大丈夫かな。」

と遠慮されるお客様もいらっしゃいます。

 

しかし、不動産は一生に何度も購入するものではありません。

分からないことがあるのは当然です。

 

例えば、

「道路後退すると建物はどれくらい小さくなりますか。」

「セットバックは終わっていますか。」

「狭隘申請は必要ですか。」

「将来売却するときに不利になりますか。」

こうした質問は、とても大切です。

納得できるまで確認したうえで契約することが、後悔しない土地選びにつながります。

第7章 まとめ

土地選びは「価格」ではなく「建てた後の暮らし」で考えることが大切です

ここまで、狭隘道路や狭隘申請(セットバック)について詳しくご説明してきました。

 

この記事をご覧になって、

「道路が狭い土地にもさまざまなルールがあることを初めて知った。」

「土地を購入する前に確認しなければならないことがこんなにあるとは思わなかった。」

そう感じられた方も多いのではないでしょうか。

 

狭隘道路だからといって、その土地に価値がないというわけではありません。

実際に、駅から近い住宅地や昔から人気のあるエリアには、狭隘道路に接した土地が数多くあります。

そのような土地でも、適切な手続きを行い、建築計画をしっかり立てることで、理想の住まいを実現されている方はたくさんいらっしゃいます。

 

大切なのは、「狭隘道路だから購入しない」ということではなく、「その土地の特徴を理解したうえで購入を判断すること」です。

 

土地は「建物」とセットで考えることが重要です

私たちがお客様とお話しする中で強く感じるのは、土地だけを見て判断される方が非常に多いということです。

 

価格が予算内だから。

駅から近いから。

南道路だから。

土地が広いから。

もちろん、どれも大切な判断材料です。

 

しかし、本当に重要なのは、その土地に希望する住まいが実現できるかどうかです。

例えば、

・希望している間取りが建てられるか。

・駐車場を希望どおり確保できるか。

・将来、お子様が独立した後も住みやすい家になるか。

・売却や相続をするときに資産価値を維持しやすい土地か。

土地だけを見るのではなく、その先の暮らしまで考えることが、後悔しない住まい選びにつながります。

 

不動産会社と建築会社、それぞれの専門性があります

土地探しでは、不動産会社と建築会社、それぞれに役割があります。

不動産会社は土地の権利関係や法令上の制限、市場価格や地域の特性に精通しています。

 

一方、建築会社は建物の設計や構造、住みやすい間取りづくりの専門家です。

本来であれば、この二つの専門知識が組み合わさることで、お客様にとって最適な住まいづくりが実現します。

 

ところが実際には、それぞれが別々に進んでしまい、土地を購入した後で建築上の制約が見つかるケースもあります。

 

だからこそ、土地探しの段階から不動産会社と建築会社が連携し、お客様へ必要な情報をお伝えすることが大切だと私たちは考えています。

 

「知らなかった」で後悔してほしくありません

不動産は、一生のうちで何度も経験するものではありません。

 

土地を購入することも、注文住宅を建てることも、多くの方にとって初めての経験です。

そのため、

狭隘道路

セットバック

建築基準法

建築確認

道路後退

といった専門用語をご存じなくても、まったく不思議ではありません。

 

だからこそ、私たち専門家には、お客様が理解しやすい言葉で説明し、安心して判断していただく責任があります。

 

分からないことをそのままにして契約を進めるのではなく、一つひとつ疑問を解消しながら住まいづくりを進めることが、将来の満足度につながると考えています。

 

私たちがお手伝いできること

おださが不動産では、相模原市・座間市・海老名市・町田市を中心に、土地や戸建て、マンションの売買を数多くお手伝いしています。

 

土地をご紹介する際には、

・道路の種類や幅員

・セットバックの有無

・建築基準法上の制限

・建築計画への影響

・将来の資産価値

なども含めて、お客様へできる限り分かりやすくご説明しています。

 

また、必要に応じて建築会社や設計士とも連携し、「この土地にどのような家が建てられるのか」という視点でご提案しています。

 

土地を購入することが目的ではありません。

その土地で、ご家族が安心して長く暮らせる住まいを実現することが、私たちの役割だと考えています。

 

最後に

狭隘申請は、街の安全を守るために欠かせない制度です。

 

一方で、土地の購入や建築計画に大きく影響する重要なポイントでもあります。

制度を知らないまま土地を購入してしまうと、思い描いていた住まいが実現できなかったり、追加費用や設計変更が必要になったりする可能性があります。

 

しかし、事前に正しい知識を身につけ、専門家と一緒に確認を進めれば、多くのトラブルは防ぐことができます。

「前面道路が少し狭い気がする。」

「この土地に希望する家は建てられるのかな。」

「セットバックが必要と言われたけれど、よく分からない。」

そんな疑問や不安を感じたら、契約を急ぐ前にぜひ一度ご相談ください。

 

土地は同じものが二つとない、大切な資産です。

だからこそ、おださが不動産では「売ること」を目的にするのではなく、「購入した後も後悔しない土地選び」を第一に考え、お客様一人ひとりに寄り添ったご提案を心掛けています。

皆さまの大切な住まいづくりが、安心と納得の第一歩から始まることを願っています。

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